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りべ日記

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胆嚢がん告知から ⑦

麻酔から目覚めた時に居たのはICUです。

意識が戻るにつれて、自分の身体に色んなものが装着されているのが判ってきます。








点滴は勿論、血液がいつでも抜けるように手首の近くにも針が刺さってるし
血圧を測る器械やら肝臓からの出血を外に出すドレーンやら、他にも色々。

全部が把握できた訳ではないけれど
コードがいっぱい繋がっているから動けないなぁ、というのが目覚めてまず思ったこと。

痛いのか、と言われたら痛いんだろうけど薬は効いてる筈だから
何ていうのか・・・経験したことのない感覚です。

同じ姿勢で長時間いたせいなのか、身体がギシギシになってる感覚。

寝返りを打ちたいけれど、動いていいのか分からなくてじっとするよう努めました。

周りに居る看護師さんは初めて見る顔の人ばかり。

中には男性の看護師さんもいました。

しばらくしたら、キャップにマスク姿のダンナさんが来ました。

『何時?』と聞いたら、夕方6時半過ぎだと教えてくれました。

手術は9時間くらいかかったそうです。

予定より長かったのは、胆嚢摘出した時の影響だそうですが
内臓が癒着していて、それを剥がすのに時間がかかったとか。

ICUは重篤な症状の患者が収容される処。

面会は限られた短い時間、ダンナさんもすぐに退室しました。

一晩をここで過ごし、翌日になって色んな数値が落ち着いたら病室へ戻れると言われました。

この一晩が、今回の入院中一番辛かったなぁ。

まず、身体が思うように動かせない、動かせる範囲もよく分からない。

手術前にお願いして麻酔の後で鼻から入れた管が、胆嚢摘出の時は麻酔から目覚めた時には
外されていたのに今回は入ったまんまで息苦しい。

口が乾いて仕方ないので看護師さんに言うと、湿らせたガーゼを含ませてくれましたが
頻繁にお願いするのも気がひけて我慢してました。

兎に角、とにかく、しんどいの・・・。

そして聞こえてくる他の患者さんと看護師さんのやりとりの声。

ほとんどは看護師さんの声しか聞こえないけれど
『動いたらダメよ、これが外れたら死んでしまうよ』とか
『頭の中を切ったから仕方ないですよ、辛抱しないと』とか
何だか耳を塞ぎたくなるような、深刻な会話。

聞きたくないから早く寝てしまおうと思うものの、
両足にエコノミー症候群防止の為エアマッサージのパットが膝から下に巻かれていて、
定期的に空気が入り足を圧迫される度にウトウトしかけても目が覚めてしまう。

夜に僅かな設定があるICUの面会時間になって、両親がやってきました。

ダンナさんと同じようにキャップにマスク姿。

『頑張れよ』と年老いた父に声を掛けられて、心配掛けて申し訳なく思いました。

一度に面会できる人数も規制されてるので入れ替わりに弟夫婦もきてくれました。

その後病室に戻るまでの15時間が何倍にも感じられる長い長い夜でした。


窓のない部屋なので何時なのか、どれだけ時間が経ったのか分からないけれど
『一応消灯時間なので電気を暗くしますね』と言われてからは
看護師さんの動きも少なくなって益々時間が経ちません。

明日、午前中に血液検査をした結果が良かったら病室へ戻れますと言われたけど
もう一泊しなきゃいけなくなったら狂い死んでしまいそうな空間だと、その時は思いました。


本当に朝になるのかと泣きそうだった長い夜が明けたらしく、
又看護師さんたちの動きが活発になりました。

殆ど眠ることなく迎えた朝。

何時なのかは不明だけれど、若い女性の看護師さんがやって来て言いました。

『これからここで立ってもらいますね。』


へっ???

最近は術後に少しでも早く動くようにと言われるってことは判っていたけれど
こんなにチューブがいっぱい絡みついてる、そして何より心身ともにフラフラの時に立つ???

『ここで一度立っておくと回復が早いんですよ。』・・・だって。

『私に掴まって頑張ってくださいね。』


今でも、あの時の私・・・よく立てたよなぁと思います。

看護師さんの肩に掴まって必死に立ちました。

掴まり過ぎて看護師さんの制服の肩のスナップボタンが全部外れてしまいました。

でも、遠慮して力を加減する余裕はなかったです。


ベッドの下に踏み台を用意され、そこに何とか立つと
『はい、もういいですよ。』と、すぐに横になることを許されました。

本当にこれで回復が早くなるのか、私には分からないけれど
後で聞いた話では、ICUで患者を立たせるようになったのはつい最近だそうで、
看護師さんにしてもこの作業はとても重労働なんだとか。

やらせる方もやらされる方も本当に大変です。


幸いこの日のお昼前には病室へ戻れました。

『病室の看護師さんが迎えに来ますから、ちょっと待ってください。』って言われて
そのお迎えが待ち遠しくてたまりませんでした。

ストレッチャーに移されて待望の病室へ。

看護師さんも病棟とICUでは、役割が違うせいか接し方が幾分違います。

病棟の看護師さんが天使に思えました。
by ribe-libe | 2015-12-25 01:38 | 胆嚢癌から

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